再エネ主力時代の需給運用と計画(5-2)調整設備の設備量の考え方とそのモデル化
連系線の容量の制限がない条件で考える場合、調整設備として考慮しなければならないのは蓄電設備としての蓄電池の容量と出力です。ここでは蓄電池容量を考える上で知っておくべき予備知識と用語類、計算に用いるモデルについて簡単に解説します。
まず、蓄電池の仕組みを確かめておきます。もっとも単純にモデル化すると、蓄電池は電気を溜める装置と、溜めた電気を系統とやり取りするための装置の2つに分けられます。
(a)蓄電池容量
溜められた電気は蓄電池の容量を表し、単位はkWh(MWh)です。よく使われるAh(アンペアアワー)は、ここでは簡単のため使用しません。これまでよく使われてきた鉛蓄電池なら正極板、電解液(希硫酸)、負極板、ケースおよび付属品(電極など)が電気を溜める装置の構成品です。
最近ではよりエネルギー密度が高いリチウムイオン充電池が用いられます。電解液の材料は異なりますが、同じモデルとして扱います。
(b)蓄電池出力
蓄電池の出力(入力)は直流です。交流で構成される電力系統との入出力のためには、直流と交流の変換を担う装置が必要です。これは電力変換装置またはパワーコンディショナーと呼ばれます(PCS:Power Conditioning System)。単位はkW(MW)です。容量が1,000kWhの蓄電池を出力100kWで充電(放電)すると1,000(kWh)÷100(kW)=10(h)となり、容量0kWhと1,000kWhの間の充電(放電)には10時間(h)かかります。もし出力が1,000kWなら1時間で充放電が完了します。一般的な蓄電池の性能の説明によく出てくるCレートの説明はここでは省略します。
(c)SOC
蓄電池の充電状態を示す数値として、SOC(State of Charge)があります。これは満充電量に対し、現在の蓄電量がどのくらい残っているかを示し、SOC=残容量/満充電容量で計算されます。しかし、蓄電池の容量は満充電の容量すべてが利用できるとは限りません。例えば30%から90%の容量範囲だけが利用可能なものがあると扱いが特殊になるため、ここでは使える容量範囲(上の例で言えば30%から90%の容量範囲)のみを満充電容量として扱い、残容量も同様に使えない30%を除いたものを用いることによってSOC=使用できる残容量/使用できる最大容量範囲相当量と定義するものとします。
(d)蓄電池のモデル化
これまでの説明を総合しますと、この検討で用いる蓄電池関係の諸量は容量、(変換器)出力、SOCを知ればよいことになります。実際にはさまざまな容量・出力の蓄電池があり、これらが混在すると計算が面倒になりますので、すべての電池は容量/出力(=最大電力で出力できる時間)が等しく、SOCもすべての電池で同じ値になるように制御するものとします。

図5.1 蓄電池モデル

