再エネ主力時代の需給運用と計画(2)
ここでは「電源」と「需要」の考え方を整理します
ここでの議論の対象とするのは、供給力としての再生可能エネルギーの一部、太陽光発電(以下PVという)と風力発電(以下風力という)、およびある期間(例えば1年度)の需要とします。データとしては各一般送配電事業者(たとえば関東にお住まいの方への供給なら東京電力パワーグリッドさんですね。以下一送ということがあります)から公表されている発電実績と需要実績の1時間値とします。一送からの公表は2024年春からは30分実績に順次切り替わっており、既に1年間の実績はあるのですが、当所の解析ソフトウエアの都合で当面2023年度の実績を用います。需要の将来想定はしません。また供給力は単に基準年の需要が満たされるように同一基準年のPVと風力の発電実績を一定倍率で拡大したものとします。
需要の将来想定は非常に難しい問題であり、AIの進展やデータセンターの建設のように巨大ではあるが持続的に拡大するかどうかもはっきりしない需要を考慮しなければならないことや、それに対して電源新増設(場合によっては廃止)の計画は主に比較的短期的に経済合理性があるかどうかでほぼ決まるため、単に需要の増加の期待だけでは投資は難しいという状況にあります。また火力や原子力発電のような大型電源の新増設はリードタイム(基本計画から建設・運用開始までの期間)が長いので、資金回収の確実性を考慮すると現状では政府による何らかの保証や市場などから得られる補助金(容量市場を含む)などの措置なしには困難な状況にあります。
一方、風力はややリードタイムは長いとはいえ、PVであれば土地の用途・所有権や環境や住民感情などを無視すれば、最大のリミットである国土全体に太陽光パネルを敷き詰めた状態までは発電能力を拡大することができますので、パネル供給や工事量の制約の範囲内であれば比較的短期に建設可能であるという利点があります。もっともこの現実的でない仮定をした場合でも送電線等の増設が間に合わないなどの制約がかかる可能性があることと、実際には特に最近では計画段階から適切な説明を行って地域・地域住民の協力を得なければスムーズに建設できないことには注意が必要です。
ここでは事業として成立するかどうかなどの金銭的な評価は範囲外とします。他方で需給がバランスする量の電源が確保できたとしても実際の需給運用にあたっては電気が足りることだけにとどまらず、種々の課題があるかもしれません。従ってここでは以降簡単な集計から始め、その結果を用いて運用した際に生じる問題について議論していくものとします。

